建設業許可条件②「社会保険に加入していること」

この記事で分かること

建設業許可の条件となる社会保険の種類

加入対象となる事業者や労働者

社会保険加入の許可条件(要件)化

2020年(令和2年)10月1日から、建設業許可の条件(要件)として「社会保険」への加入が追加されました。

(許可の基準)建設業法第七条(※抜粋)

国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

1 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。

(法第七条第一号の基準)建設業法施行規則第七条(※抜粋)

法第7条第1号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。

2 次のいずれにも該当する者であること。

イ 健康保険法第3条第3項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、健康保険法施行規則第19条第1項の規定による届書を提出した者であること。

ロ 厚生年金保険法第6条第1項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、厚生年金保険法施行規則第13条第1項の規定による届書を提出した者であること。

ハ 雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業の事業所に該当する全ての営業所に関し、雇用保険法施行規則第141条第1項の規定による届書を提出した者であること。

引用:e-gov法令検索

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000100

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324M50004000014

なお、上記では建設業法施行規則第7条第2項を引用していますが、同条の第1項が許可条件①でご紹介した「適正な経営体制」になります。

建設業許可条件①適正な経営体制:常勤役員等/経営業務の管理責任者

 

以前から建設業界にいる皆さんは国が「建設業界の社会保険・労働保険未加入問題」への対策を進めていたことをご存じだと思います。

今回の改正では、許可を有する建設業者について社会保険の加入を義務付けるという方法で加入促進を図ったと言えます。国が許可を認めるのですから、法令順守の観点から社会保険への加入が求められるのは当然といえば当然でしょう。

なお、国土交通省では、建設業に関して社会保険の加入対策ページを公開していますので、当ページと併せてご一読をおススメします。

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk2_000080.html

社会保険とは?

ここで一度「社会保険」について確認しておきましょう。

「社会保険」とひとことで言ってもいくつかの定義の仕方がありますので、ここでは公的保険制度である健康保険制度、厚生年金保険制度、雇用保険制度、労災保険制度、介護保険制度の総称ということで話を進めていきます。

建設業許可申請で関わるのは、このうちの健康保険制度、厚生年金保険制度、雇用保険制度の3種類です。

社会保険と労働保険

社会保険のうち、労災保険制度と雇用保険制度を併せて「労働保険」と呼ぶこともあります。

労働保険の関係でいえば、建設業という労働災害の多い業種にも関わらず許可の条件に「労災保険への加入」が入っていないことを不思議に思う方(特に兼業事業の方)もいらっしゃるかもしれません。

その理由ですが、建設業の労災保険は他業種と運用が異なっており下記のふたつの流れがあります。

  • ①工事現場に関わる労災保険
  • ②工事現場以外(事務所、兼業事業所等)に関わる労災保険

上記のうち①の工事現場に関わる労災保険は、工事現場ごとに元請事業者が下請事業者に関する作業者についても一括で加入する仕組みになっています。

従って、例えば下請けとしてのみ工事を請け負うのであれば①の建設工事に関わる労災保険に加入しない事業者もあり得ますので、許可条件としてしまうことには制度上馴染まないという見方もすることができるわけです。

とはいえ、建設業における労災保険への加入は実際に工事を施工するうえで、また事業を進めるうえで非常に重要な要素ですので、あくまで「許可の条件(要件)という観点では要求されないだけ」と理解してください。

強制適用と適用除外

法人・個人事業者の別に関わらず、何らかの事業を営む者で条件に該当する場合は社会保険に加入する義務があります。

加入の条件に該当して社会保険の対象となる事業所のことを「適用事業所」といい、その適用事業所で働くひとが加入対象となることを「強制適用」といいます。反対に適用条件に該当しない場合は「適用除外」です。

建設業許可申請では、法令上「事業所として本来加入しなければならない社会保険にちゃんと加入しているか?」が問われます。

従って、適用事業所ではない事業所や適用除外の方が社会保険に加入していない場合については、法令違反でありませんから全く問題ありません。

建設業許可申請に際しては、まずご自分の事業所が社会保険の強制適用となるか否かを確認することから始めることになります。

特に事業を始めて間もない事業者様、個人事業主の方等は注意しましょう。

健康保険制度

最初に健康保険制度から見ていきましょう。

日本は公的医療保険制度において「国民皆保険」制度を採用していますので、日本に住む人は全員なんらかの健康保険制度に加入する必要があります。

“国民”とありますが、日本に住んでいる外国籍の方も対象です。

公的医療保険制度にはいくつかの種類があり、各保険制度と対象者は下記の通りです。

1.国民健康保険

対象者:自営業者・無職者・年金生活者等とその家族等

2.健康保険

①全国健康保険協会(協会けんぽ)

対象者:会社員・サラリーマン、日雇労働者等

②健康保険組合

対象者:主に大企業の社員とその家族等

③共済組合

対象者:公務員とその家族等

④後期高齢者医療制度

対象者:75歳以上の方

建設業許可申請において加入が条件となるのは、2の健康保険の①全国健康保険協会か②の健康保険組合です。

健康保険加入条件は次のフロー図で確認してください

健康保険の適用関係

 

参考/引用:厚生労働省資料 https://www.mlit.go.jp/common/001140378.pdf

建設業の許可を取るにあたって、適用事業所の場合は健康保険に加入していなければなりません。

健康保険組合はある程度以上の規模(単一企業700人以上・複数企業3000人以上)の企業・企業グループや業界団体が設立するものです。従って、新たに健康保険に加入するほとんどの事業者様の場合は全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入することになります。

強制適用の例外:国民健康保険組合への加入について

対象となる事業者様は限定されますが、法人、又は5人以上を使用する個人事業所であっても健康保険の適用除外となるケースがあります。

それが図の※2「国民健康保険組合に加入する事業所に使用されるもの」の場合です。

紛らわしいですが「国民健康保険組合」と「健康保険組合」とは別の制度のものです。

「国民健康保険組合」とは同業種の個人事業主(組合員)が集まって構成される団体で、従業員数5人未満の個人事業者が加入することができます。

事業者が国民健康保険組合を利用できるのは下記の3つのケースです。

  • ①従業員5人未満の個人事業者
  • ②健康保険組合に加入していた個人事業者が従業員5人以上となった場合で、健康保険適用除外申請をした場合
  • ③個人事業として健康保険組合に加入していたものが法人成りした場合で、健康保険適用除外申請をした場合

建設業許可の条件としての社会保険(健康保険)加入の例外となるのは、②③の場合です。

小規模(5人未満)の個人事業として建設業の経営をスタート後、社員が5人以上になった際または法人化した際に適用除外申請をして健康保険組合に加入し続けている場合に限られますが、該当する事業者様が新たに建設業許可申請をするのであれば健康保険に加入していなくても良い、ということになります。

厚生年金保険制度

日本の公的年金制度は2本立ての制度になっています。

  • ①国民年金(基礎年金):日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員が加入する
  • ②厚生年金保険:会社員・公務員等の給与生活者が加入する

このうち建設業許可申請において加入が条件となるのは②の厚生年金保険です。

厚生年金加入条件は次のフロー図で確認してください。

厚生年金の適用関係

 

参考/引用:厚生労働省資料 https://www.mlit.go.jp/common/001140378.pdf

雇用保険制度

雇用保険制度は、退職や、勤めていた会社・事業所の倒産等により職を失った労働者の方に必要な給付を行ったり、再就職を援助することを目的とした制度です。

従って加入対象となるのは「労働者」に限られます。個人事業主の方や、法人の経営者(代表者・役員)は原則として含まれません。

個人事業・法人を問わず労働者を使うすべての事業所が対象になります。

雇用保険加入の条件は次のフロー図で確認してください。

雇用保険の適用関係

 

 

参考/引用:厚生労働省資料 https://www.mlit.go.jp/common/001140378.pdf

社会保険に関する問合せ・手続き先

各制度に該当する場合は、下記の窓口に手続きをします。

  • 健康保険制度に関する問合せ・手続き先

最寄の年金事務所(日本年金機構:https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/

全国健康保険協会(協会けんぽ: https://www.kyoukaikenpo.or.jp/

  • 厚生年金保険制度に関する問合せ・手続き先

最寄の年金事務所(日本年金機構:https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/

  • 雇用保険制度に関する問合せ・手続き先

最寄りのハローワーク ( https://www.hellowork.mhlw.go.jp/index.html

愛知県内の窓口一覧

健康保険・厚生年金保険

大曽根年金事務所

管轄:名古屋市千種区/東区/北区/守山区/名東区、春日井市、小牧市

〒461-8685 愛知県名古屋市東区東大曽根町28-1

TEL:052-935-3344

中村年金事務所

管轄:名古屋市中村区 津島市 愛西市 弥富市 あま市 海部郡

〒453-8653 愛知県名古屋市中村区太閤1-19-46

TEL:052-453-7200

鶴舞年金事務所

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〒460-0014 愛知県名古屋市中区富士見町2-13

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熱田年金事務所

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笠寺年金事務所

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〒457-8605 愛知県名古屋市南区柵下町3-21

TEL:052-822-2512

昭和年金事務

管轄:名古屋市昭和区/天白区、日進市、愛知郡

〒466-8567 愛知県名古屋市昭和区桜山町5-99-6 桜山駅前ビル

TEL:052-853-1463

名古屋西年金事務所

管轄:名古屋市西区、清須市、北名古屋市、西春日井郡

〒451-8558 愛知県名古屋市西区城西1-6-16

TEL:052-524-6855

豊橋年金事務所

管轄:豊橋市、蒲郡市、田原市

〒441-8603 愛知県豊橋市菰口町3-96

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一宮年金事務所

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〒491-8503 愛知県一宮市新生4-7-13

TEL:0586-45-1418

瀬戸年金事務所

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〒489-8790 愛知県瀬戸市共栄通4-6

TEL:0561-83-2412

半田年金事務所

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〒475-8601 愛知県半田市西新町1-1

TEL:0569-21-2375

豊川年金事務所

管轄:豊川市、新城市、北設楽郡

〒442-8605 愛知県豊川市金屋町32

TEL:0533-89-4042

刈谷年金事務所

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〒448-8662 愛知県刈谷市寿町1-401

TEL:0566-21-2110

豊田年金事務所

管轄:豊田市、みよし市

〒471-8602 愛知県豊田市神明町3-33-2

TEL:0565-33-1123

協会けんぽ愛知支部(郵送のみ取扱い)

〒450-6363 名古屋市中村区名駅1-1-1  JPタワー名古屋23階

TEL:052-856-1490(代表)

※管轄に関する注意事項
  • 名古屋北年金事務所は国民年金に関わる事務のみ取扱い
  • 大曾根年金事務所は、健康保険・厚生年金保険に関する管轄と、国民年金に関わる管轄が異なる

雇用保険

ハローワーク名古屋中

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TEL:052-774-1115

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〒440‐8507 豊橋市大国町111 豊橋地方合同庁舎内

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〒444‐0813 岡崎市羽根町字北乾地50‐1 岡崎合同庁舎内

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TEL:0586-45-2048

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管轄:豊田市、みよし市

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ハローワーク津島

管轄:津島市/愛西市、稲沢市平和町、弥富市、あま市、海部郡大治町/蟹江町/飛島村

〒496‐0042 津島市寺前町2‐3

TEL:0567-26-3158

ハローワーク刈谷

管轄:刈谷市、安城市、知立市、高浜市、大府市

〒448‐8609 刈谷市若松町1‐46‐3

TEL:0566-21-5001

ハローワーク碧南

管轄:碧南市

〒447‐0865 碧南市浅間町1‐41‐4

管轄:0566-41-0327

ハローワーク西尾

管轄:西尾市

〒445‐0071 西尾市熊味町小松島41‐1

TEL:0563-56-3622

ハローワーク犬山

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〒484‐8609 犬山市松本町2‐10

TEL:0568-61-2185

ハローワーク豊川

管轄:豊川市

〒442‐0888 豊川市千歳通1‐34

TEL:0533-86-3178

ハローワーク蒲郡

管轄:蒲郡市

〒443‐0034 蒲郡市港町16‐9

TEL:0533-67-8609

ハローワーク新城

管轄:新城市、北設楽郡設楽町/東栄町/豊根村

〒441‐1384 新城市西入船24‐1

TEL:0536-22-1160

ハローワーク春日井

管轄:春日井市、小牧市

〒486‐0841 春日井市南下原町2-14-6

TEL:0568(81)5135

 

まとめ

社会保険への加入は建設業許可の条件(要件)である以前に、事業者の課せられた法令上の義務になります。

加入条件に該当する場合は、従業員やその家族のためにも加入しましょう。

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