この記事でわかること
建設業に関連する書類について、行政手続きにおける押印廃止の影響
建設業関連の押印廃止書類
令和2年、国の規制改革、新型コロナ対策におけるテレワーク推進等の取り組みの一環として、申請や届出への押印が見直されました。その結果、国の各府庁国、地方自治体に提出する申請、届出等の書面の多くで押印が不要となっています。
建設業に関しては令和3年(2021年)1月1日から「押印を求める手続の見直し等のための国土交通省関係政令の一部を改正する政令」の第9条に基づき、下記の書面への押印が廃止されています。
建設業許可申請関係
建設業法施行規則で定める様式
- 様式第1号:建設業許可申請書
- 様式第6号:誓約書
- 様式第7号:常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書
- 別紙:常勤役員等の略歴書
- 様式第7号の2:常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書
- 別紙1:常勤役員等の略歴書
- 別紙2:常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書
- 様式第7号の3:健康保険等の加入状況
- 様式第8号:専任技術者証明書(新規・変更)
- 様式第9号:実務経験証明書
- 様式第10号:指導監督的実務経験証明書
- 様式第12号:許可申請者(法人の役員等・本人・法定代理人・法定代理人の役員等)の住所、生年月日等に関する調書
- 様式第13号:建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書
- 様式第22号の2:変更届出書
- 様式第22号の3:届出書
- 様式第22号の4:廃業届
- 様式第22号の5:譲渡及び譲受け認可申請
- 様式第22号の6:誓約書
- 様式第22号の7:合併認可申請書
- 様式第22号の8:分割認可申請書
- 様式第22号の9:届出書
- 様式第22号の10:相続認可申請書
- 様式第22号の11:誓約書
- 様式第22号の12:届出書
建設業許可事務ガイドラインで定める様式
- 別紙4:一般、特定建設業の許可申請の取下げ願
- 別紙7:登録免許税の還付願
- 別紙8:変更届出書
- 別紙11:譲渡及び譲受、合併、分割の認可申請の取下げ願
- 別紙14:譲渡及び譲受、合併、分割の認可の取下げ願
- 別紙16:相続の認可申請の取下げ願
経営事項審査関係
建設業法施行規則で定める様式
- 様式第25号の11:経営状況分析申請
- 様式第25号の14:経営規模等評価申請書、経営規模等評価再審査申立書、総合評定値請求書
- 様式第25条の16:登録経営状況分析機関登録申請書
各行政機関窓口での押印廃止に関わる取扱い
申請・届出書面への押印廃止に伴い、申請者が本人であるかの確認をどのように行うかが問題になりますが、申請先によって取扱いが異なりますので注意が必要です。
事前に必ず、申請の手引きや申請先となる役所の窓口等で確認しましょう。
愛知県知事許可に関連する書類の押印廃止に伴う措置
愛知県知事許可申請をする際に必要な書類について、手続き時の押印の取扱いをまとめてみました。
建設業許可関係書類
愛知県知事許可においては原則下記の取扱いとなっています。※令和4年(2022年)1月30日現在
- 法定様式、県独自の様式の全てにおいて押印不要(※)
- 押印のある申請書・届出書についても当面継続して受け入れる。但し、1件の申請著、一連の届出にて押印がある様式と無い様式の混在は認めない。
(※)記名が求められる書面についても印刷での記名が認められていますので、PCで作成して大丈夫です。
本人確認方法
※本人提出の場合のみ:行政書士が手続きする場合の取扱いは省略します。
※行政書士に依頼する場合、申請者・届出者に電話確認される場合があります。
書類の記載方法
建設業許可申請書(様式第1号)、変更届出書(様式第22号の2)、事業年度終了届出書(愛知県様式)、経営規模等評価申請書/経営規模等評価再審査申立書/総合評定値請求書(様式第25号の11)を提出する場合
→「連絡先」欄に下記を記入する。
- 担当者の所属する部署名(〇〇課)等が決まっている場合
「所属等」欄→部署名
「氏名」欄→担当者氏名
「電話番号」欄&「FAX番号」欄→担当者の所属部署の番号(※)
- 担当者の所属する部署名が無い場合
「所属等」欄→商号又は名称
「氏名」欄→担当者氏名
「電話番号」欄&「FAX番号」欄→申請者(届出者)の番号(※)
(※)提出した書類は一般に公開されるため(閲覧)、個人宅・個人の携帯番号等は不可。
書類提出者の本人確認方法
廃業届(一部廃業で経営業務の管理責任者等又は専任技術者の変更を伴うものを除き、廃業の理由が『許可を受けた建設業を廃止したため』であるもの)、変更届(役員等の常勤/非常勤)、変更届(従たる営業所の廃止)、変更届(既存営業所の名称)、変更届(既存営業所の所在地)、変更届(専任技術者の変更を伴う場合を除く営業所の業種変更)、許可証明申請書を提出する場合
→下記のいずれかを窓口で提示する
A)許可通知書、許可申請書副本、届出書副本のいずれかの原本
B)上記Aが提示できない場合
【法人の場合】
ⅰ)事業所名が確認できる健康保険証(原本) ※代表者以外でも可
ⅱ)上記ⅰが提示できない場合:登記事項証明書(3か月以内)+登記事項証明書に記載された役員の健康保険証(コピー)
【個人事業主の場合】
ⅰ)事業所名が確認できる健康保険証(原本)※事業主以外でも可)
ⅱ)上記ⅰが提示できない場合:事業主本人の建康保険証等身分を確認できるもの(原本又は写し)
訂正印の扱い
訂正方法:訂正印(欄外の捨印)不可
→ 訂正が必要な場合:様式の差替(改めて持参・再郵送等)
提出した書類に誤りがあっても、訂正(修正)できませんので注意してください。
引用・抜粋:愛知県WEBサイト「押印を求める手続の見直しに伴う建設業許可等手続の変更について」2021 年(令和3)年1月4日
後見等登記事項証明書(「登記されていないことの証明書」)
※令和4年(2022年)1月30日現在では押印が必要です。
- 本人、本人の配偶者または4親等内親族が申請する場合:申請書の請求権者欄に押印
- 代理人が申請する場合:申請書の代理人欄に押印、委任状に本人(請求権者)の記名押印
参考:東京法務局WEBサイト
納税証明書(愛知県税)
県税:納税証明書交付申請書への押印不要
→ 代理人が申請する場合、委任状に押印必要
参考:愛知県WEBサイト「納税証明書を請求される方へ」
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/zeimu/0000067578.html#download
法人登記:履歴事項全部証明書
登記事項証明書交付申請書等:押印不要
参考:法務局「登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式」
住民票・戸籍に関する証明書
各市町村によって取扱いが異なりますので、窓口等で確認してください。
今後の流れ(=電子申請化)
日本政府が進めているデジタル・ガバメント政策において、上記記載の手続きは順次電子化される予定です。
建設業関連では、建設業許可・経営事項審査関連の電子申請システムが令和4年度(2020年度)稼働を目指して準備が進められています。
※令和4年(2022年)1月30日現在
書面申請そのものが完全に廃止されるとは考えにくいですが、先行して運用されている建設キャリアアップシステム等との連携も考えると申請者側で電子化を進めるメリットは大きいと考えられます。
行政書士に依頼している場合は、委託先の行政書士に対応を進める予定があるか問い合わせてみると良いでしょう。
まとめ
押印廃止により確かに書類作成のひと手間は減りましたが、書類を提出する人が申請者・届出者の本人であるか(または本人の正式な代理人であるか)の確認は以前より厳しくなったと言えます。
行政書士に依頼する場合も含めて、申請者・届出者には委任関係/委任契約を正しく管理/締結することが求められます。