建設業許可条件①適正な経営体制:常勤役員等/経営業務の管理責任者

この記事で分かること

  • 建設業許可の条件(要件)である適正な経営体制の詳細
  • 従来の「経営業務の管理責任者」から「適正な経営体制」への変更点
  • 「適正な経営体制」として認められるための基準

「経営業務の管理責任者等」から「常勤役員等」へ

建設業法の改正について(2021年10月~)

従来の建設業許可の条件(要件)一つであった「経営業務の管理責任者」ですが、法改正に伴い2021年から基準が変更されています。

旧法:法改正前(~2021/9)

「経営業務の管理責任者」

法人の場合はその役員(※)のうち常勤であるものの1人が、個人の場合は本人又はその支配人が右のいずれかに該当すること。

※業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる方。

  • イ) 許可を受けようとする業種に関し、5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する方
  • ロ) と同等以上の能力を有すると認められた方
    • ① 許可を受けようとする業種以外の建設業に関し、6年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する方
    • ② 許可を受けようとする業種に関し、経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって5年以上経営業務を総合的に管理した経験又は6年以上補佐した経験を有する方
    • ③ 許可を受けようとする業種以外の建設業に関し、経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって6年以上経営業務を総合的に管理した経験を有する方
    • ④ その他国土交通大臣(旧建設大臣)がイと同等以上の能力を有すると認める方

引用:愛知県『建設業許可申請の手引(申請手続編)』※令和2年4月版

新法:法改正後(2021/10~)

「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」

次のいずれかに該当するものであること。

  • イ) 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
    • (1) 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
    • (2) 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
    • (3) 建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
  • ロ) 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であって、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあっては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあっては当該建設業を営む者における5年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロにおいて同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。
    • (1) 建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
    • (2) 5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者
  • ハ) 国土交通大臣がイ又はロに掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認定したもの。

引用:愛知県『建設業許可申請の手引(申請手続編)』※令和3年4月版

建設業法改正のポイント

※これから許可を取る方にはあまり関係ないので、読み飛ばして頂いてもかまいません。

①旧法)個人の経験→新法)組織として「適正な経営体制」

旧法(~2020/4)と新法(2021/10~)を見比べて頂くと、新法では(ロ)が追加になっていることに気づかれると思います。

この(ロ)が新法の最も大きな変化点なのですが、これまで個人事業主や法人の役員の方の一人(個人)に求められていた建設業者としての管理能力について、ひとりの役員や個人事業主個人の経験に限定して考えるのではなく、経営陣全体で適正な経営体制を確保できているかどうかで判断する考え方が導入されました。

それに伴い、建設業法における許可の条件(要件)の表現も「経営業務の管理責任者」から「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」に代わっています。

なお、後ほど詳しく書きますが「経営業務の管理責任者としての経験」とは、法人の役員や個人事業主等、建設業の営業に関し対外的な責任を負う立場での業務経験のことを言います。

新法の(イ)を見て頂くと「経営業務の管理責任者」という言葉がありますので、これまで通りの条件も認められています。つまり、従来通り建設業の経営業務の管理の能力を個人事業主や役員等の方どなたか一人の経験で満たしても良いし、経営陣全体で満たしてもどちらでもよいので、会社として許可を有する建設業者にふさわしい経営体制を用意してほしい、と理解して頂くとわかりやすいかと思います。

②業種限定条件の廃止

従来からの「経営業務の管理責任者(等)としての経験」で許可を取りたい場合についても条件に変更がありました。

旧法でついていた「許可を受けようとする業種」という条件が無くなりました。

改正後は「建設業に関し~」にいう表現に代わっています。

旧法では、例えば屋根工事業の許可を取りたい場合は、屋根工事業だけの経験であれば5年、屋根工事以外の経験も含むのであれば6年間の経験が必要でした。新法では、どの業種であっても5年間の経験があれば許可の条件(要件)を満たすことができることになっています。

③「経営業務の管理責任者に準ずる地位」の区別を明確化

「経営業務の管理責任者に準ずる地位」というのは、経営業務の管理責任者である法人の役員等や個人事業主の直下の地位のことを指します。

従来は「準ずる地位」とだけの表現でしたが、現在は「準ずる地位」を下記の2種類に区分しています。

  • 経営業務を執行する権限の委任を受けた者
  • 経営業務を執行する権限の委任を受けていない者

「権限の委任を受けた者」は取締役会設置会社において、会社のルールに従って対外的な責任権限を与えられた立場での業務経験になります。

権限の委任を受けていない場合は、あくまでその事業者の内部的な職制上の立場での業務経験に留まります。

権限移譲の有無がポイントですので、許可の条件(要件)となる経験も

  • 権限の委任を受けた者は自分で業務執行ができるから「経営業務を管理した経験」
  • 権限の委任を受けていない者は自分では業務執行できないから「経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験」

と明確に区別されました。

形式ではなく実質が問われますので、例えばいわゆる「執行役員」と呼ばれる立場であったとしても、名称に関わりなく権限の委譲があるか否かが審査されることになります。

なお、この準ずる地位の場合でも「許可を受けようとする業種」という条件がなくなっています。

「適正な経営体制」とは?

建設業の許可の条件(要件)である「適正な経営体制」として認められるための条件(要件)を整理してみましょう。

  • ①常勤役員等のうちの1名が、建設業に関して5年以上経営業務の管理責任者としての経験があること。
  • ②常勤役員等のうちの1名が、建設業に関して5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位(建設業に関して経営業務の執行権限の委任を受けていること)で経営業務を管理した経験があること。
  • ③常勤役員等のうちの1名が、建設業に関して6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位で経営業務の管理責任者を補佐した経験があること
  • ④常勤役員等のうちの1名が、建設業に関して役員経験が2年以上ありかつ5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位で財務管理・労務管理・業務運営のいずれかの業務経験があること。 + その常勤役員等の方を直接補佐する方として、許可を申請する事業者で5年以上建設業の財務管理・労務管理・業務運営の経験のある方をそれぞれおくこと。
  • ⑤常勤役員等のうちの1名が、何らかの事業において役員等の経験を5年以上有しかつ建設業に関して2年以上役員等の経験があること。 + その常勤役員等の方を直接補佐する方として、許可を申請する事業者で5年以上建設業の財務管理・労務管理・業務運営の経験のある方をそれぞれおくこと。
  • ⑥国土交通大臣が①~⑤と同等以上の経営体制を有すると認定したものであること。※当記事では詳細省略します。

それぞれ詳しく見ていく前に、用語について確認しておきます。

「常勤役員等」とは

具体的には、次の役職・立場方で、常勤の方を指します。

  • 持分会社(合資会社/合名会社/合同会社)の業務執行社員
  • 株式会社又は有限会社の取締役
  • 指名委員会等設置会社の執行役
  • 法人格のある組合・社団法人・財団法人・NPOの理事
  • 個人事業主の本人
  • 個人事業主の支配人

この中で聞きなれない言葉は「個人事業主の支配人」だと思いますが、この「支配人」という言葉については注意が必要です。

一般的に「支配人」はホテルとかレストラン等の店舗運営者という意味で使われますが、法令用語としては、経営者から営業所の包括的な経営権原を付与され対外的な代理権を持つ方のことを指します。

「支配人」として認められるためには、商法上の登記が必要です。

なお、役員等には「監査役」は含まれません。

「常勤」とは

原則として本社、本店等において休日その他勤務を要しない日を除き一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事していること

引用:国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」

従って、非常勤の役員では建設業の許可要件としての「常勤役員等」になることはできません。

通勤距離が長い(遠い)場合

「常勤」であるためには、原則、毎日ちゃんと会社・事業所に通勤する必要があります。

愛知県の建設業者の「常勤役員等」なのに、住所が例えば秋田県であったらどうでしょう?

毎日通勤することは常識的に考えて不可能です。

このような場合は、常勤性が否定され「常勤役員等」として認められません。

他社との兼務・兼業の場合

「常勤役員等」の方が他社と兼務していたり、他に事業を営んでいる場合(兼業)には注意が必要です。

毎日所定の時間中その職務に従事している必要がありますので、他の業務を行ったり他の事業所にいたりする場合は、常勤性に「?」が付いてしまいます。

愛知県のWEBサイトでは、下記が常勤性が認められない例として紹介されています。

  • 住所が勤務する営業所所在地から遠距離にあり、常識上、毎日通勤ができない場合
  • 他の業者の経営業務の管理責任者や専任技術者である場合
  • 建築士事務所を管理する建築士や宅地建物取引業者の専任の取引士等、他の法令により専任を要するとされている者である場合(ただし、同一企業の同一営業所である場合は兼任も可能)

引用:愛知県WEBサイト「建設業許可に関するよくある質問と回答」

次のような場合もあります。

  • 経営業務の管理責任者である社長が、同じ建物(事務所)にある関連会社(子会社)の社長を兼務している。

この場合、「常勤役員等」として常勤と言えるでしょうか?

同じく愛知県のWEBサイトの回答はこうです。

  • 仮にフロアが同じであっても他の営業体であれば、他社の常勤役員との兼務は認められません。

引用:愛知県WEBサイト「建設業許可に関するよくある質問と回答」

それならばと「実質的に非常勤である休眠会社の代表取締役との兼務は認められるのか?」等々、正直なところ常勤性の条件(要件)は突き詰めるとかなり厄介です。手引き等を読んでも、そこまで細かい説明はありません。

申請実務上の運用として、例えば愛知県や国土交通省の申請(2021/12/1時点)では健康保険証の事業所名で常勤性を確認してはいますが、実際の審査がどのように行われているかは外部からはわかりません。

※愛知県以外、他の都道府県では健康保険の所属事業所名義以外で常勤性を確認しているケースもあります。

兼務・兼業のある方を「常勤役員等」として選任したい場合は、事前に申請先の窓口で相談しましょう。

「経営業務の管理責任者としての経験」

業務を執行する社員、取締役、執行役若しくは法人格のある各種の組合等の理事等、個人の事業主又は支配人その他支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、経営業務の執行等建設業の経営業務について総合的に管理した経験

引用:愛知県『建設業許可申請の手引(申請手続編)』※令和3年4月版

纏めると「建設業を営む事業者において、取引上対外的に責任のある地位で建設業に関する契約等の業務を総合的に管掌していた経験」のことです。

ポイントは“対外的に責任のある地位”になります。

許可申請の際には、”外部の方から見た場合に対外的に責任のある地位であったか否かを客観的に確認できる状態であったか否か”が審査の対象となります。

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「適正な経営体制」として認められるための条件(要件)

①常勤役員等のうちの1名が、建設業に関して5年以上経営業務の管理責任者としての経験があること。

「経営業務の管理責任者としての経験がある」ですが、建設業に関して下記の立場での経験を有することを言います。

  • 法人の役員
  • 執行役
  • 組合の理事(等)
  • 法人の支店長等(令3条の使用人)
  • 個人事業主
  • 個人事業主の支配人

経験期間は通算して5年です。

期間が連続していなくても、複数の事業者の経験(例えば個人事業主としての経験+法人の役員経験)でも大丈夫です。

※「令3条の使用人」とは

「建設業法施行令第3条に規定する使用人」の略で、支店長、営業所長等で建設業法上の選任届が提出された方のこと。

②常勤役員等のうちの1名が、建設業に関して5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位(建設業に関して経営業務の執行権限の委任を受けていること)で経営業務を管理した経験があること。

「経営業務の管理責任者に準ずる地位での経験」とは下記の経験を指します。

取締役会設置会社において、取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任され、かつ、取締役会によって定められた業務執行方針に従って、代表取締役の指揮および命令のもとに、具体的な業務執行に専念した経験

引用:愛知県『建設業許可申請の手引(申請手続編)』※令和3年4月版

「取締役会設置会社」とあるので、法人であることが前提です。

先ほども書きましたが形式的な役職名ではなく下記等の実態を審査されます

  • 取締役会の決議により業務執行権限を委譲されていること
  • 取締役会の定めた業務執行方針があること
  • 代表取締役の指揮・命令に従って建設業に関する具体的な業務執行に専念した経験があること

申請者において上記の事実を対外的に証明できるだけの体制が求められることになりますので、ある程度の規模を持つ企業でなければ、この要件(条件)で申請することは事実上困難でしょう。

個々の企業様それぞれの事情に応じた審査となりますので、この要件での許可申請を検討される場合は最寄の申請窓口に相談しましょう。

※「手引き」にも事前相談をするよう指示があります。

③常勤役員等のうちの1名が、建設業に関して6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位で経営業務の管理責任者を補佐した経験があること

ここでいう「経営業務の管理責任者を補佐した経験」とは下記のような経験とされています。

経営業務の管理責任者に準ずる地位(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくは法人格のある各種の組合等の理事等、個人の事業主又は支配人その他支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位に次ぐ職制上の地位にある者)にあって、建設業に関する建設工事の施工に必要とされる資金の調達、技術者及び技能者の配置、下請業者との契約の締結等の経営業務全般について、従事した経験

引用:愛知県『建設業許可申請の手引(申請手続編)』※令和3年4月版

②とのわかりやすい違いは、「取締役会の権限移譲」の条件がないことです。

従って、法人に限定されず、建設業を営む個人事業主の方を補佐した経験も該当します。

ポイントは「建設業の経営業務の管理責任者の直下の地位」というところです。

例えば法人でいえば役員直下で建設業務を所管する「事業部長」等になりますが、この制度が想定しているケースの筆頭は、個人事業主の事業承継(子供が跡継ぎになる場合)のです。

補佐経験についても形式的な役職名ではなく実態を審査されますが、審査で特徴的な要素は、建設業許可を持つ第三者に補佐経験を証明してもらう必要があります

ほとんどの事業者様にとっては②よりも現実的な選択肢ではありますが、認められるかどうかは「準ずる経験」同様に個々の事業者様それぞれの事情に応じた審査となります。

実際、個人事業主の跡継ぎであれば必ず認められるというようなことはなく、おそらく皆さんがイメージするほど簡単ではありません。この条件についても、申請前の事前相談が求められていますので注意しましょう。

④常勤役員等のうちの1名が、建設業に関して役員経験が2年以上ありかつ5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位で財務管理・労務管理・業務運営のいずれかの業務経験があること。

+

その常勤役員等の方を直接補佐する方として、許可を申請する事業者で5年以上建設業の財務管理・労務管理・業務運営の経験のある方をそれぞれおくこと。

まず後半を読んで頂くと、この要件(条件)の前提条件が見えてきます。

許可を申請する事業者で5年以上建設業の建設業の財務管理・労務管理・業務運営の経験のある方が在籍している必要がありますので、つまり、許可申請をする事業者が最低5年以上建設事業を継続していることが前提条件になります。

そのうえで、建設業に関して役員又は役員に次ぐ地位で財務管理・労務管理・業務運営のいずれかについて5年以上の業務経験を持つ方を常勤役員に据え、その方の直属の部下としてその会社で建設業にして5年以上財務管理・労務管理・業務運営の経験を持つ方を補佐役に任命する、ということになります。

常勤役員等ひとりでは建設業の経営業務の管理責任者としての経験は不十分であるけれども、その会社の建設事業について十分な経験のある方(方々)に常勤役員等を直接サポートさせることで、会社として建設業の管理能力を確保するという趣旨です。

なお、役員等の方を補佐する方は財務管理・労務管理・業務運営それぞれ1名でもよいですし、同一人物でも構いません。

経験期間についても、同一人物の場合は、例えば「業務部長」とか「建設部長」というような立場で各業務を同時に経験していれば、経験期間も重複計算して構いません。

経験年数の計算方法1

 

⑤常勤役員等のうちの1名が、何らかの事業において役員等の経験を5年以上有しかつ建設業に関して2年以上役員等の経験があること。

+

その常勤役員等の方を直接補佐する方として、許可を申請する事業者で5年以上建設業の財務管理・労務管理・業務運営の経験のある方をそれぞれおくこと。

④と後半は同じで、前半部が違います。

④との違いは、建設業の役員経験期間は同じ2年ですが、建設業に関わらず何からの事業で役員等の経験を通算5年以上持っていることが条件となっています。④が建設業での経験を重視しているのに対し、この条件は建設業か否かを問わず経営者としての経験を重視していると言えます。

例えば、製造業等、他の事業会社の役員や個人事業主としての経験を持っている方を役員として招き入れたようなケースをイメージしてください。

建設業の経験が無いのですぐに常勤役員等として認めることはできないけれども、その会社で2年間経験を積んで、かつ、その会社の建設事業のことを良く理解している方を補佐につければ建設業の経営業務の管理に必要十分な体制として認める、という趣旨と考えて頂くとよいでしょう。

常勤役員等を補佐する方の条件については、④のケースと同じです。

経験年数の計算方法2

⑥国土交通大臣が①~⑤と同等以上の経営体制を有すると認定したものであること。

当記事では詳細省略します。

実際には①~⑤でほとんどのケースがカバーされますので、中小企業で該当するケースはほぼ無いでしょう。

例としては、常勤役員等に関して国外(外国法人)での経験で申請する場合等が考えられますが、ここでは「そういう手続きもあるけれども…」という程度の理解で十分かと思います。

「常勤役員等」が不在となった場合

建設業の許可の条件(要件)である「適正な経営体制」の重要な要素である「常勤役員等」。

許可取得後に「常勤役員等」が不在となった場合、その後許可はどうなるでしょうか?

例えば法人の役員等の方が退職した場合や個人事業主の方が死亡した場合が考えられますが、建設業法には次のような規定があります

(許可の取消し)

第29条 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該建設業者の許可を取り消さなければならない。

1.一般建設業の許可を受けた建設業者にあつては第7条第1号又は第2号、特定建設業者にあつては同条第1号又は第15条第2号に掲げる基準を満たさなくなつた場合

(許可の基準)

第7条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

1.建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。

引用:e-Gov ポータル 建設業法

簡単にまとめると、常勤役員等に関する基準を満たさなくなったときには許可が取り消されてしまう、ということが書いてあります。

この常勤役員等に関する基準を満たさなくなったときの例が、先述の「常勤役員等」が退社により不在となった場合等になります。

許可が取り消されてしまうのですから、建設業の事業運営の観点から考えると「基準を満たさなくなったとき」が具体的にどのようなタイミングであるのかを考えておかなければなりません。

建設業の許可の条件(要件)として、基準を満たす役員等が”常”勤である必要があります。

基準に該当する「常勤役員等」の方が社内に常に在席できなくなったタイミング(瞬間)が「基準を満たさなくなったとき」。

従って「常勤役員等」の基準を満たす方が途切れ目なく、社内で業務執行していなければならないということになります。

言い換えると、前任者と後任者の在籍期間に1日でも空白期間がある場合は許可取り消しの対象である、ということなのです。

法人の場合

法人の役員等の場合でいえば、前任者が不在となった時点で①~⑤の「常勤役員等」の要件を満たした後任者が社内にいる必要があります。

先ほどの例、法人の役員等の方が退職したような場合で不在となった時点で「常勤役員等」の基準に該当する方が社内にいれば、前任者の退社時点をもって後任者を選任し、変更届出をすることで許可の継続は可能です。

「常勤役員等」の変更届は、変更の理由となる事情が生じた後2週間以内に許可を受けた役所に提出する必要があります。

提出期限までの時間が少ないので、忘れないようにしましょう。

個人事業主の場合

個人事業主の場合は、法人の場合より複雑です。

まず、個人事業主の方本人が「常勤役員等」であった場合でこの方が死亡等で不在となった場合は、許可の主体そのものがなくなりますので原則として許可取消ということになります。

しかし、亡くなった方の相続人に「常勤役員等」の基準を満たす方がいる場合は、”相続”の認可申請という手続きを行うことで後継者(跡継ぎの方)に許可を継続できる場合があります。

もう一つのパターンは、あまり現実的なケースではないですが、個人事業主本人以外の方が「常勤役員等」であった場合です。

具体的に言えば支配人が「常勤役員等」となっていて、その支配人が死亡・退職等で不在となる場合が考えられます。

この場合は法人の場合と同じです。

前任者が不在となった時点で「常勤役員等」の基準に該当する方が事業所内にいれば、その方を後任として選任し、変更届を提出することで許可を継続することができます。

後任者となれるのは①にも書いた通り、個人事業主本人か支配人の方です。

常勤役員等が不在となった場合に外部招聘は可能か?

法人・個人事業主、いずれの場合にも前任の「常勤役員等」が不在となった時点でその会社又は事業所に在籍している必要がありますので、常勤役員等が不在となった後で、外部から後任を連れてきて許可を継続するということは不可能です。

実際に常勤役員等が不在となってしまったら

許可を持つ建設事業者において、実際に何らかの事情で常勤役員等が不在となってしまった場合にはどうしたら良いでしょうか?

この場合、現在の許可があるからといって常勤役員等が不在のまま許可事業者としての活動を続けることはNGです。

前述の通り建設業法では、常勤役員等が不在となった場合「許可を取り消さなければならない」と規定しています。従って、常勤役員等不在の状態で業務を継続していることが発覚した場合には、許可を取り消されることになります。

許可を取り消された場合は欠格要件に該当してしまいます。取消後5年間は許可を取り直すことができなくなりますので、事業継続に大きな支障をきたしてしまいます。

常勤役員等が不在となった場合の届出について

このような事態を回避するために、常勤役員等が不在となったことについての届出書を役所に提出することになります。

2種類あり、一つ目は建設業法第7条第1項の基準に満たさなくなった旨の「届出書」。この「届出書」は、常勤役員等が不在となってから2週間以内に提出する必要がありますので注意しましょう。

もう一つは、建設業の「廃業届」です。

この「廃業届」ですが、建設事業そのものを止めるということではなくて、許可事業者としての「建設業者としての立場を廃止」して許可をもたずに建設業を営む事業者に戻るという趣旨の届出になります。

こちらの「廃業届」については、廃業事由発生(常勤役員等が不在となった日)から30日以内に提出となっています。

繰り返しになりますが、「常勤役員等」が不在となった時点で許可業者としての立場を失いますので、その後は軽微な建設工事以外の請負契約を結ぶことはできなくなりますので注意してください。

要る?要らない?建設業許可 ー「軽微な建設工事」500万円の壁

「常勤役員等を直接補佐するもの」が不在となった場合

考え方としては「常勤役員等」の場合と同じです。「適正な経営体制」としての継続性が失われた時点で、許可の取消事由に該当します。

まとめ

常勤役員等・経営業務の管理責任者の選任は、建設業許可申請の大きなハードルです。
また、許可を取得した後は、許可を持つ建設業者として事業継続や事業承継するための非常に重要な要素となりますので、計画的な後継者の育成が望まれます。

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