目次
この記事でわかること
建設業許可申請の準備の進め方。
行政書士に依頼せずに許可を取るためのポイント。
建設業の許可は(大変だけど)自分ひとりでも(頑張れば)取れる!!
インターネットで「建設業許可申請」と検索すると、数えきれないほどの行政書士事務所がヒットします。この記事を書いているのも行政書士ですが、それでは、そもそも建設業許可申請は行政書士ではないと取れないのでしょうか?
結論から言えばそんなことはありません。
自分ひとりで、社内の担当者だけで、建設業の許可をとることは十分に可能です。とはいえ、建設業許可申請は簡単な手続きではありませんので、ポイントを押さえて一つ一つ確実の準備を進めることが大切です。
建設業許可申請を自分で行うメリットとデメリット
メリット
お金
行政書士に頼らず建設業許可申請を自分で行うことのメリットですが、一番はやはり「お金」です。
建設業許可申請を行政書士に依頼する場合は、役所に支払う申請手数料の他に行政書士に報酬(料金)を支払う必要があります。行政書士によっても、案件の内容によっても価格はまちまちですが、一般的なケースの新規申請で10万円~30万円くらいの範囲ではないかと思います。この出費をゼロに抑えることができるのはやはり大きなメリットです。
知識
もう一つのメリットは、建設業許可申請を自社で取得する準備を通じて建設業法に関する知識を習得できることです。
建設業を営んではいても、建設業法などの関連する法令に接する機会はなかなかないものです。「許可を取る」ということは、「当社は建設業法を守って事業を行います」ということを役所に認めてもらうということでもありますから、自分達だけで準備を進めることで得られるノウハウは非常に大きなものがあります。
デメリット
時間(工数)
メリットもあれば、デメリットもあります。
その最たるものは時間(工数)です。
行政書士に頼らずに許可を取るということは、自分の時間(工数)を本業の儲けのために使うのでなく、許可の準備のために使うということです。中小法人や個人事業の場合、社長様、代表者様が作業をして事務もするということも当然あると思いますが、それに加えて、許可申請のための準備の時間が必要になるということです。仕事の終わった夜間や休日に準備することもできますが、めちゃk大変ですよね。
精神的負担
もう一つのデメリットは、精神的な負担(=気苦労)です。
建設業者の皆さんは、建設業のプロではあっても法令や許認可申請のプロではありません。インターネットや申請の手引きがあるとしても、慣れない用語や文章に触れることは決して簡単なことではありません。実際に許可が取れるかどうかも条件を一つ一つ確認する必要があります。必ずしも許可が取れるかどうかもわからない状況で、自分ひとりで作業を進めることにストレスを感じる方も少なくないでしょう。
許可を取ったら何をしたいのか? ~ もう一度考えてみる ~
建設業許可は”取って終わり”ではありません。
許可を取ってからも日常業務における帳簿の作成や毎年の決算報告、節目ごとのいろいろな届出等が必要になります。
建設業許可業者の法人やその役員等、個人事業主等には、事業のうえでも個人としても行動に制約が掛かります(これ超重要です!!!特に兼業の方は注意!!!)。もちろん「許可を取りたい」という思いの背景には、取引先の要請や大きな工事案件の獲得といった理由があると思いますが、許可取得のメリットだけではなくリスクも機会をきちんと分析し、許可取得後の展望を明確にしておくことが重要です。
建設業許可申請の「手引き」を入手しよう
「手引き」ってなに?
さて、いざ建設業許可を取りたい!となっても、そもそもどこから手を付けてよいのかわからないという方がほとんどではないでしょうか?
特に始めて許可を取りたい場合、「自分は許可をとれるのか?」「書類をどうやって書いたらよいのか?」「必要なものは何か?」等不安なことだらけのはずです。
誰かに聞きたくなる、それはわかりますが、何も準備せずに役所の窓口に質問に行くのは避けましょう。何も準備せず役所の窓口でいきなり「建設業の許可を取りたい」と言っても、おそらくあなたが満足する回答は教えてくれないはずです。これは役所の担当の方が不親切からなのではなく「あなたがどの種類の許可を取りたいか?」や「経営者や技術者は建設業許可業者に必要な経験や技術はあるか?」「あなたの会社(事業)の経営状態はどうか?」等がわからなければ答えようがないからです。
そこで、まず最初に「建設業許可申請の手引き」を入手しましょう。
愛知県に限らず、すべての都道府県・国交省地方整備局で、建設業許可を取りたい人がすべきことをまとめた「手引き」や「Q&A」などを作成して公開しています。どの役所の「手引き」等でも、通常前のほうのページから建設業許可を取るために確認しなければならないことが順番に記載されているはずです。まず一通り読んで「何がわからないか?」「役所に確認したいことは何か?」から洗い出して、それから役所に訪問することをおススメします。行政書士に頼らず自分で許可を取りたいということであれば、何度か役所に通うことになるかもしれませんが、役所の担当者とのコミュニケーションもスムーズに進み、許可取得のための準備を確実に進めることができるでしょう。
手引きは各申請窓口で冊子版を配布していますし、インターネットで入手することもできます。
愛知県の手引きは下記アドレスから入手できます(2021/9/4時点)。
https://www.pref.aichi.jp/site/kensetsugyo-fudosangyo/dl-page-kyoka.html#tebiki
申請する許可の業種と区分の確認
手引きを入手して最初に確認することは、自分が取りたい許可の業種の区分と申請の区分を確認することです。
許可業種の区分
建設業の許可は、次の表の通り全部で29業種に分かれています。
許可の条件(要件)を確認する通常であれば許可を取りたいという時点で今後のお仕事のニーズや展望が固まっていると思いますので、まず取りたい許可に見合った業種を特定しましょう。自分で思っている業種と実際に申請する業種が違うということもあり得ます。そのような場合は決めつけずに、役所に確認しましょう。
土木工事業 | 鋼構造物工事業 | 熱絶縁工事業 |
建築工事業 | 鉄筋工事業 | 電気通信工事業 |
大工工事業 | 舗装工事業 | 造園工事業 |
左官工事業 | しゆんせつ工事業 | さく井工事業 |
とび・土工工事業 | 板金工事業 | 建具工事業 |
石工事業 | ガラス工事業 | 水道施設工事業 |
屋根工事業 | 塗装工事業 | 消防施設工事業 |
電気工事業 | 防水工事業 | 清掃施設工事業 |
管工事業 | 内装仕上工事業 | 解体工事業 |
タイル・れんが・ブロツク工事業 | 機械器具設置工事業 | ― |
許可の区分
許可の区分は、営業所の配置による区分と工事規模の区分に分かれます。
- 営業所の配置による区分:複数の都道府県に建設業の営業所を置くかどうかで判断する
- 工事規模の区分:下請業者への発注金額の合計額で判断する
表に許可区分をまとめましたので確認してみましょう。
営業所の配置による区分 | |
営業所の配置 | 区分(許可権者) |
愛知県に本社(本店)があって、建設業に関係する営業所(支店等)が全て愛知県内にある場合 | 愛知県知事
(申請先:愛知県) |
愛知県に本社(本店)があって、建設業に関係する営業所(支店等)が愛知県外にもある場合 | 国土交通大臣
(申請先:国土交通省各地方整備局) |
愛知県外に本社があって、愛知県の営業所(支店等)でも建設業の営業をする場合 | |
工事規模の区分 | |
下請発注額 | 区分(申請の種類) |
元請工事(発注者から直接請負った工事)1件あたりの下請業者への代金の合計額が 4,000万円(建築工事業は 6,000 万円)*以上の工事を行う場合 | 特定建設業 |
上記の場合以外 | 一般建設業 |
* 元請負人が提供する材料等の価格は含まない。 |
営業所の配置による区分ですが、”営業所の配置による区分”に意味があります。
これは、営業所が複数都道府県にあるかどうかの区分であって、営業所の数や営業範囲による区分けではないので注意しましょう。
例えば営業所が全て愛知県内にあるのであれば、営業所がいくつあっても(例えば名古屋本社、豊田営業所、豊橋営業所とか)申請先は、「愛知県庁」または本店を管轄する「〇〇建設事務所」です。許可を出すのが都道府県知事なので「知事許可」と呼びます。
逆に営業所が複数の都道府県にまたがってあれば、営業所の数に関わらず申請先は本社を管轄する「国土交通省の地方整備局」になります。許可を出すのが国土交通大臣なので「大臣許可」と呼びます。
下請発注額の区分についても、特定建設業の許可が必要になるのは元請事業者として下請業者・協力会社への発注合計額が表の額以上となる場合です。”下請業者への発注額”であって、自社が請負った額(受注額)のことではありません。
ある程度大きな工事を受注できる建設業者様に限られるので、中小企業/個人事業で最初に許可を取るような場合は「一般建設業」となることがほとんどと考えて頂いて良いと思います。
許可の条件(要件)の確認
申請業種と申請区分が確定したら、次は、実際に許可を取れるかどうかを確認していきます。
役所が許可をするかどうかの基準、条件のことを「許可要件」と言いますので、この言葉は覚えておきましょう。
※このサイトでは初見の方でもわかりやすいように「許可の条件(要件)」という表現にしてあります。許可条件(要件)についての詳細ですが、別ページに記載しますのでそちらをご覧ください。ここでは要件のうち重要となるポイントを簡単にご紹介していきます。
ポイント①:経営体制
経営者(法人の代表者/役員、個人事業主/支配人)が、建設業の許可業者として適切に会社を管理できるかを問われます。
具体的には、代表者を含めた役員等の経営陣に建設業に関わる一定の経験があることが求められます。逆に言えば、経営陣に建設業の経験がある人が全くいなければ建設業の許可は取れない、ということになります。その場合は、他社から役員等を採用しなければなりません。
ポイント②:各営業所の専任技術者
先ほどの許可要件の①は経営面での条件でしたが、今度は技術面での条件になります。
許可業者は、無許可業者と比較して請負額の大きな工事(500万円以上、建築一式工事1500万円以上)を受注することが可能になります。そのため、工事を安全かつ適切に実施できるよう、技術面での指揮監督、適切な請負契約の締結、工事における適正な施工管理のための人材を各営業所に置くことが求められています。それが「専任技術者」です。建設業許可を取るためには、その業種ごとに指定された経験又は資格を持つ専任技術者を必ず各営業に常駐させる必要があります。
ポイント③:資産/財産
資産/財産(預金・現金)又はそれに代わる金銭的な信用が必要です。
建設業の経営には多くのお金がかかりますので、許可業者には資金面で安定していることが求められます。財産面での条件は一つではありませんが、検討の初期段階では一般建設業の場合で自己資本500万円以上、特定建設業の場合で資本金2,000万円あるかどうかを目安にすると良いでしょう。
ポイント④:その他の条件(要件)
ポイント①~③の他に、下記が主な条件(要件)となります。
- 社会保険、労働保険に加入していること。
- 請負契約について不正又は不誠実でないこと。
- 欠格要件(犯罪歴があったり、精神面で重度の問題がない等)に該当しないこと。
- 建設業を営むための適切な営業所があること。
どれも重要ではありますが、条件をクリアする難易度が高いポイント①~③を優先して検討すると良いでしょう。申請先によって条件(要件)の仔細が異なりますので、あくまで申請先が出している手引き等の情報を第一に確認してください。
申請窓口に相談する
許可条件(要件)について検討が終わったら、一度、役所に事前相談に行くとよいでしょう。
自分たちで検討した結果が、実際に許可を取るための条件を満たしているかどうかを確認してみる、と考えてください。また、この先準備しなければいけない書面も各業者で違いがありますので、何を用意しなければならないかの指示をもらう必要もあります。
注意点として、訪問する際には質問事項を明確にしておくことが望ましいです。
最初にも書きましたが、役所の担当の方もある程度具体的な内容でないと答えようがありません。次については、簡単でよいのでメモを作って持参することをおススメします。
- 経営体制:役員や個人事業主の方の建設業の経歴
- 専任技術者:予定者の経歴、持っている資格の種類
- 営業所:予定地の写真(外観、事務所となる場所がわかるもの)
- 持参すると良いもの:直近の決算書一式、法人の場合は履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)
スムーズに質問ができるように、「手引き」を読んでわからなかった個所をマークしたり付箋を貼ったりして持参すると良いでしょう。
このタイミングで「現時点で許可が取れるのかどうか?」にある程度のメドが付くはずです。
もし「今は無理」だとしても「今後どうしたら許可が取れるのか?」がわかるはずですので、決して無駄な時間とはならないはずです。
相談する先ですが、実際に許可申請をする先となる窓口に行きましょう。審査担当者により微妙に判断が異なるケースもありますので、実際に審査をしてもらう役所に行って、できれば「いつ誰に相談したか」を覚えておく(記録しておく)ことをおススメします。
相談(申請)する窓口は、下記の通りです。
- 知事許可申請の場合:
本店を所管する都道府県の役場(都道府県庁または本店を所管する「○○建設事務所」等)
- 大臣許可申請の場合:
本店を所管する国土交通省の「○○地方整備局」
※愛知県内の事業者様の場合は、下記リンクをご確認ください。
必要書類を準備する
集める書類はたくさんある(めちゃくちゃたくさんあることも…)
この頃から、検討段階から具体的な準備段階に入っていきます。
許可申請の準備作業としては、最も大変な段階です。用意する書類の枚数は許可申請の条件(要件)によって変わってきますが、中小企業や個人事業主の少ない場合でも50枚弱、新規申請で申請が難しいケースでは100枚を軽く超えます。必要書類を事前にリストアップして効率的に集めましょう。
集める書類は現在のものだけではありません。むしろ過去のもののほうがたくさん有り、集めるのも大変です。契約書等の受発注書面や工事実績等については、常日頃からの整理整頓、管理が非常に重要になってきます。取引先や過去の勤務先に書いてもらう書類もありますので、常日頃から良い関係を築けるよう心がけましょう。
必要な書類が用意できなければどうなるか?
公的書類がなんらかの理由で入手できない場合については、建設業許可申請窓口の担当者の方に相談してください。(必ずとは言えませんが)他の書類で代替できるよう指示してくれることがあります。
本当に問題となるのは、過去の経験や工事の実績等の自社資料が全く残っていない場合です。この場合は、許可申請自体が相当厳しくなると考えてください。そうならないためにも、契約書等の受発注に関わる書類、施工記録等は確実に管理しておくことが非常に重要になってきます。
くれぐれもですが書類の「偽造」はやめましょう。偽造・ダメ・絶対!
申請書類を書く
必要書類が集まったら、ようやく申請書の作成です。
申請書は申請者の事実関係を記載するものなので、必要な情報が無いと書けません。これは行政書士の場合でも同じことです。
申請書は「手引き」に従って書いていけば概ね書けると思いますが、決算関係の書類は結構大変です。
確定申告用の決算書を建設業会計方式に従って書き直す必要があります。「手引き」にも簡単に書いてありますが十分ではありませんし、インターネットにもあまり情報が無い分野です。とはいえ、行政書士に頼らずに自社で許可を取って、その後も許可の維持管理をするのであれば避けて通ることはできませんので、最低限申請書を書くくらいのお勉強はして頂く必要があるでしょう。
なお、行政機関に提出する書面の押印廃止の流れを受けて、建設業許可申請で自社申請する場合は押印不要です。
申請書を書く際に注意してほしいのは「制約書」です。
申請しても不許可となる理由のことを「欠格要件」というのですが、この欠格要件に該当しないことについて「誓約書」を提出する必要があります。
この「誓約書」ですがくれぐれも軽い気持ちで書かないようにお願いします。実際には欠格要件に該当しているのに該当しない旨の制約書を書いて提出することは「虚偽申請」に該当し、不許可だけでなく、その後許可をとれなくなるなど本当に大変なことになり得ます。
申請書の提出&申請手数料の支払い
必要書類が揃って、申請書類が書けたら本社の所在地を管轄する窓口(都道府県又は国土交通省)に提出します。
提出時には記載内容に不備・誤りはないか、必要書類が揃っているかどうか等の形式的な審査がされます。この時点で許可要件に関わり書類上でわかる不備があれば受理されませんので、その場合は訂正して出し直し、ということになります。
現実的な運用としては、許可の可能性が無い又は低い案件は役所が受けとりません。というよりは、許可の可能性が低い案件は適切な書類の用意もできないので受け取りようがない、というべきかもしれません。ここまで準備の準備に問題が無ければ、通常書類は受付されますので安心してください。
申請書を提出する際には、申請手数料を支払う必要があります。
新規申請の場合の申請手数料は許可申請先の区分で異なり、下記の額となります。
- 都道府県知事許可:90,000円
- 国土交通大臣許可:150,000円
支払方法は申請先となる役所により異なります。事前に「手引き」で確認しておきましょう。
提出後の流れ~許可(不許可)通知
審査について
前述のように、許可の可能性のない又は低い案件については役所が申請書を受理しません。
受理後は役所の内部で実質的な審査が行われます。この段階で見つかった書類の不備については、補正/修正等するように連絡がありますので指示通り補正すれば大丈夫です。
申請書の書き方の項でも記しましたが、問題となるのは「欠格要件」に該当していたことが発覚した場合です。役員等の経歴については関係する官公庁に照会・調査が行われていますので、欠格事項は必ずバレると思ってください。
許可通知書・申請書副本の受け取り
愛知県の場合、通常であれば申請後約1か月で結果が出ます。
「許可通知書」はぺらっとした普通のA4用紙1枚です。愛知県では、一応ビニールのリフィルの中に入れて送られてきます。
重厚さも飾り気もないので捨てそうになりますが、無くしても再発行はされません。お客様や金融機関等にコピーを提出するように求めらたりしますので、大切にしましょう。
許可通知書と一緒に申請書の控え(これを「副本」と言います)も送られてきます。申請書副本も将来の申請等の際に現物が必要になることがありますので、絶対に無くさないようにお願いします。
→ 筆者はお客様に赤文字で「絶対に捨てないように!!」的なことを書いたレターをしつこいくらい送っています。
許可通知書許可業者向けの冊子が同封されてきます。この冊子もしっかり読んで、内容を理解することが必要です。建設業の許可を取得したことで、その会社/事業所とその役員/個人事業主等には経営又は個人としての責任と、行動に多くの制約が掛かってきます。
不用意な行動が許可の継続を困難にする場合もありますので、十分に注意してください。
許可取得後に必要なこと
まず最初にすることは、建設業許可業者であることの証である建設業許可標識を事務所に掲示することです。いわゆる「金看板」ですね。営業所だけでなく、各工事現場にも許可標識を掲示して、周囲の人にわかるようにしなければいけません。
日常業務においては工事契約書の作成、帳簿作成/保管等を継続する必要がありますし、許可申請書に記載した事項等、会社/事業所や役員/事業主に変化があった際には変更届を提出する必要もあります。毎年の決算後には事業年度終了届(決算報告書)の提出が必要です。
許可を取って終わりではなく、許可を取ってからがスタートという認識で許可事業者としての経営を進めていきましょう。
事前準備のススメ!
長文になってしまいましたが、ここまでお読み頂きありがとうございます。申請の事前準備の前の調べものだけでも結構大変、ということががわかって頂けたのではないかと思います。
建設業許可は「簡単に取れる」ものではない、ということをご理解頂けましたら幸いです。
だからこそチャレンジする価値がある、ということでもあるのですから。
建設業許可申請は、現在だけでなく、過去が問われます。
実際に申請をするのは直近日でもその下準備に長ければ10年以上かかることもあり得ますので、許可業者として活動したいという思いをもったその日から準備を進めることが必要になります。
具体例を挙げてみましょう。
①資金の準備
建設業許可申請には資金(資本)が必要です。
一般建設業であれば500万円。これを準備しなければなりません。そのためにはもちろん個人や会社の預貯金も大切ですが、例えば資金を融通してくれる親族、金融機関との良い関係を作っておくことが非常に重要になってきます。
②資格の取得
営業所の専任技術者ですが、経験年数で条件(要件)をそろえるのは非常に大変です。
それに比べて資格による場合は、例えば「建築士」であれば一つの資格でいくつもの許可の条件を満たすことも可能になります。専任技術者として使える資格はどれも簡単な試験ではありませんが、チャレンジしておいて損はありません。
③仲間づくり
許可申請においては、同業者や過去の勤務先の書類や証明が必要なケースがあります。
とすると、例えばこれらの人とケンカ別れした場合などは最悪許可をとれない、というケースも考えられなくはありません。特にこれから独立して許可を取ろうと思っている方は、今の会社の経営者や同僚に不義理をしないようにしましょう。そもそも建設業は人の繋がりで成り立っている業種ではありますが、許可を取る、という点でも協力を得られるような関係を気づいておくことが大切です。
まとめ
建設業の許可の要件を整えるには、非常に大きな労力と緻密な事前準備が必要です。
「建設業許可を取りたい!」と思った瞬間がスタートと考えて、計画的に、確実に準備を進めていきましょう。